5年前、ある新生児科病棟にメッセージと花束が届いた。900グラムで産まれた僕から、子育てを頑張っているみなさんへ――。フィギュアスケート男子の五輪メダリスト宇野昌磨さん(26)からの電報だった。その言葉は、NICU(新生児集中治療室)で生まれた赤ちゃんと、家族を励まし続けてきた。
名古屋市の日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院(八事日赤)の新生児科病棟。産科の病棟から赤ちゃんが処置を受けるNICU治療室へと続く廊下に、そのメッセージは掲示されている。
《21年前900グラムで小さく産まれた僕がここまで来れたのも、両親の諦めない前向きな愛情があったおかげです》
2019年10月、同院に電報と花束が届いた。その前年、平昌オリンピックで銀メダルに輝いた名古屋市出身の宇野さんは、自らも「超低出生体重児」として生まれ、別の病院のNICUで入院経験があったという。
「はじめまして、宇野昌磨です。子育てに頑張っている皆様へ」。自身も超低出生体重児として生まれた宇野さんから送られてたメッセージは、小さく生まれた子を育てる多くの家族の希望になりました。記事末尾に宇野さんからのメッセージ全文も記載しています。
「小さく産んでしまった」自責の念も 足を止める人々
八事日赤の新生児科元部長、田中太平医師によると、宇野さんは、NICUを卒業した子どもたちの「同窓会」が同院にあることを、伝え聞いた。
「同窓会に出たかったが、忙…